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2009-11-18 20:30

貴方は私の


まさかのマイナーカプでソディユリ。ED後設定です。
あと、大したことありませんがオリキャラ出ます。
嫌いな方は注意!


―――――――――――――――



「ユーリ・ローウェル殿はおられるだろうか」




オルニオン、ギルド凛々の明星本部の扉をノック三回。
きっかり五秒後に扉を開け、靴音も高く中に入り、一言。
はきはきと滑舌の良いそれは誠実さに溢れ、力強く敬礼の形をとられた姿勢は揺らぐことのない信念を表しているようだった。



実に謹厳実直、剛毅木訥。
これぞ正しく騎士である。



・・・・・・と、相手にそんな印象を抱かせる生真面目さでユーりの名前を声高に呼ばわったのは、誇り高き帝国騎士団長―――その補佐、ソディアであった。
意外な人物の来訪に、しばしの静寂が訪れる。




「ユーリさんなら、今奥で休まれてる。取り次ごう。あー・・・・・・あんた、名前は?」
「これは失礼した。私は―――」




居合わせたギルド員が、戸惑いつつも名を問う。



彼は名をデュリオといった。
星喰み消滅後にギルドに加入し、ここで主に事務仕事を受け持っていた。
今のように、訪問者の対応なども時にまかされていたが。



ソディアが彼に、名を名乗ろうと口を開く。
しかし、それを遮るようにして、正面の、重厚な作りの扉が開いた。




「よう、ソディア。久しぶりだな」




現れた人物が、ごくごく気軽に、左手を軽く上げる。
ソディアもその姿を認め、再度敬礼をとった。
まさにユーリ・ローウェル、その人に。




「お久しぶりです。ユーリ殿。お会いできてなにより」
「そんな、ユーリさん自ら・・・・・・!」
「大丈夫だよデュリオ、知り合いだ。 ―――ま、立ち話もなんだし、中来いよ」




俺に用があるんだろ?
ギルド幹部自ら客人の出迎えをする様子に、デュリオが焦って制止の声を掛けるが、ユーリは宥めるようにそれを退け、ソディアを中に招いてしまった。



無用心すぎる。



友好関係を築いたと言ったって、まだまだ騎士団など信用できないのに!



そんな不安と心配を露骨に表情に浮かばせながらも、デュリオは渋々と道を譲った。




















「で、今日はわざわざこんな所まで、騎士団長補佐殿直々に何の用だ?」




ソディアを応接室に通し、自分も適当に座りながら、ユーリは言った。
その様はまるで自然体で、ソディアをいたく安心させた。




「ヨーデル閣下より、文書を預かっている。これを見て欲しい」




ソディアが、高級そうな白い羊皮紙に、赤い封蝋を施された手紙をユーリに手渡す。
小心な者ならば触れる事すらも躊躇われそうなそれだったが、ユーリは臆面もなく封を破り、手紙を取り出す。
その様子にソディアはふ、と思わず笑ってしまった。



ここまで気負いのない、マイペースを貫かれるともういっそ清々しい。
一応、皇帝閣下直々の使いであるということで緊張していたのだが、そんな自分が馬鹿らしく思える。
自分もソファに腰かけ、ソディアは全身から無駄な力が抜けていくのが判った。




「『新騎士登用記念式典に列席されたし』―――何だこれ?」
「そのままだ。丁度一月後の今日、今年度の新しい騎士を正式に騎士団に迎え入れる、歓迎式典がある。それに、ユーリ殿に参列していただきたい、という陛下の意向だ」
「えー・・・・・・」




あからさまに顔をしかめ、嫌なものでも持つように文書を指でつまみ、ひらひらと振るユーリ。
言わずとも、「行きたくない」というオーラが全身から出ていた。




「行きたく」
「”ない”とは言わせんぞ。ユーリ殿は栄誉騎士、当然式典に出る責務があるのだ」
「えぇー・・・・・・」




それだって無理やりだろ、とユーリが肩を落とす。



栄誉騎士とは、星喰み殲滅などの功績を称えて、ヨーデルがユーリに半ば無理やり叙勲したものだった。
これのおかげでユーリは、ギルド側の人間でありながら戸籍上は騎士団に所属していることになっているのだ。
シュヴァーンは殉職扱いだというのに、不当である。



―――というのがユーリの意見であるが、さすがに口には出さない。



良くしてもらっている結果であるし、何よりこのソディアの前で好意を無碍にするような発言をすれば、どんな返り討ちを受けるか判らないからだ。
しかし文書を改めて読み返し、顔を上げたユーリは、思いのほか真剣な顔をしているソディアを見て眉を寄せた。



今、自分は何か口走りでもしたのだろうか。




「何だ? どうした?」
「いや・・・・・・」




思ったことを明け透けに、歯に衣着せぬ物言いをするソディアにしては珍しく言いよどむ姿に、ますますユーリはいぶかしむ。
言おうか言うまいか、というよりは、言葉を選んでいる風なそれに、ユーリは疑問を抱きながらも急かしはしない。




「ユーリ、殿は・・・・・・その、騎士団に戻る気は、ないのか?」
「はぁ?」




そうしてどうにか搾り出したらしい言葉に、ユーリは思わず聞き返した。
戻るも何も、戸籍上、既に自分は騎士団員として名を連ねていることになっている筈だ。
今しがた、ソディア自身の口から言われたとおりである。



栄誉騎士。



しかしユーリの疑問の意味を悟ってか、ソディアが目を伏せたまま頭を振った。
そうではない、ということらしい。




「判っている・・・・・・。形式的にはユーリ殿は既に騎士だ。しかし、そういう意味ではなく・・・・・・」
「ああ・・・・・・」




そこまで聞いて、やっとユーリにも、ソディアの言いたいことが判ってきた。
つまり、騎士団に、帝都に、”帰って”くる気はないのかと、そういう事だ。
フレンにも、ルブランにも、もう耳にタコが出来るほど聞かされている台詞である。
しかしそれを、まさかソディアの口から聞くことになるとは。



ユーリはやや自嘲気味に笑った。
一時は己に剣を突き立てるほど憎んでいた男に、”帰って来い”とはまたおかしな話である。




「自分でも、矛盾したことを言っているのは判っている、でも・・・・・・!」
「今更俺が戻ったって、やる事なんかねぇよ」



ユーリは嘆息して、目を閉じた。



出会ったときから思っていたことではあるが、こいつの考えていることはよく判らない。




「そんな事はない! ・・・・・・フレン団長も、ユーリ殿を求めている」
「フレンか・・・・・・言ったろ、俺はもうあいつの隣に戻る気はない。戻りたいとも、戻るべきとも思ってない。今はお前がいるんだから、それで十分だろ」
「! ―――私・・・・・・?」




ユーリの言葉に、今度はソディアが驚いて瞠目する。
まったく予期していなかったらしい。




「他に誰がいるんだよ。客観的かつ迅速な判断、剣の腕も優秀、貴族出身で評議会にも顔が利く。ま、フレン以上に頭が硬いのが玉にキズだけどな」




十分すぎるほど優秀な団長補佐だろ、とユーリが笑う。
けれどソディアは、それを見て涙が溢れそうになるのを必死で堪えていた。



思い返されるのは、あの時、あの出来たばかりのこの街で、彼が自分に言った言葉。



自分は代役だと。



ユーリは知らないのだ。



自分が言ったその言葉の重さを。



彼女の後悔を。



彼女の歓喜を。



許された者が抱く気持ちを、ユーリは知らないのだ。
ソディアは何も言えず、顔を真っ赤にして俯いていることしか出来なかった。



ユーリは困惑した。
目の前の女性が何にうろたえ、何に心を揺らされているのかがまったく判らなかった。
ユーリはひどく困惑した。




「おい? ソディア?」
「お前はっ・・・・・・本当に、性質が悪いな・・・・・・!」




顔を上げたソディアは、まだ目の端に涙が残っていたが、どこか吹っ切れた顔をしていた。
ますます当惑して、訳が判らないと疑問符を飛ばすユーリに、ソディアは立ち上がり、どこか挑戦的に笑いかける。




「さあ、では伝えることは伝えたぞ。―――明日の朝、迎えに来る」
「は、え? 明日!? ちょ、待」
「では、またな”ユーリ”」




扉を開け、ソディアが立ち去る。
重い木製の扉の外と内で、ユーリは困惑のあまり頭を抱え、ソディアは清々しく笑っていた
















―――――――――――――――
意外に(?)好きなんですよねソディユリ・・・・・・
マイナーだって構わない!
だって好きなんだもの!(・・・
結構おいしい関係だと思うんだけどなー
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