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2009-11-18 20:41

穏やかなる侵食/前編


拒食症ユーリ妄想です。シリアス。レイユリ予定。


―――――――――――――――



最初に、彼の異変に気付いたのはレイヴンだった。



否、”気付けたのが”レイヴンだった、と言うべきかもしれない。



ユーリの戦い方についてである。



ユーリという青年は、一見してそう思われがちだが、そのスタイルはパワーファイターではない。
これは経験が豊富で、長く騎士団に所属していたレイヴンだからこそ判る事だろうが、ユーリはむしろ、計算されたテクニカル型だと言えるだろう。



元々の骨格が細いのだ。
鍛えても、体格に恵まれた者と比べると、どうしても筋力に差が出てくる。
彼が曲芸師のように刀をくるくると回すのは、その為だろうとレイヴンは分析していた。
軽い身のこなしとステップで敵を翻弄し、足りない筋力を遠心力や体の反動で補っているのである。



それを理解するレイヴンが見咎めたのは、その体の回転を利用した剣術が、ここの所大振りになってきている、ということである。
大したことではない、と言ってしまえばそれまでだ。



事実、仲間たちは気付いていないようであるし、それによって戦闘に支障が出ている訳でもない。
レイヴンも、自分が彼に関して敏感になりすぎているだけか、ということも考えた。



しかしどう言い訳をつけても、胸の奥に粘性を持ってこびりついた不安だけは、いつまでも消えてはくれなかった。




















次に不審を感じたのはエステルである。



温室育ちのお姫様であることは間違いないし、知識ばかりで経験の少ない彼女ではあるが、人を見る洞察眼には優れていた。
それが、特にユーリに関することならば。



彼が、丁度成長期にあるカロルのように、食欲旺盛でないことは知っていた。
しかし最近のユーリは自分の分を少なめによそったり、半分以上残したそれをラピードに分けてやったりして、以前以上に食が細くなっている印象をエステルは受けた。



彼ははぐらかすのが上手いから、彼女がそれとなく聞いてみても、答えてはくれなかったけれど。



けれど、レイヴンの作るクレープは、美味しそうに良く食べている。
以前リタに心配性だと言われた、自分の杞憂なのだろうか。



そうであって欲しいと願う。
けれどそうではないのではないかという、曖昧な確信に満ちた思いが、いつもどこかで燻っていた。




















”直前”に、危惧した違和感を看過してしまったのはジュディスだ。



しばらく前から―――そう、丁度、星喰みの存在があらわになってから、だろうか。
ユーリが気だるげに、例えるならば偏頭痛を堪える様に、頭に手をやっている姿を見かけるようになった。



それも頻繁に。



体調が悪いのではないか、と問えば、すぐにいつものからかうような笑みに戻って「寝不足なだけだよ」と彼は返した。
しかし言葉とは裏腹に、彼の起床時間は少しずつ遅くなっていった。
魔物の、小さな群れとの戦闘で、彼らしくなく息が上がっているのを見ることもあった。
それから、そうだ、彼の服は開いた胸元と腕以外に露出しているところが無いから判別しづらいが、少し、体の線が細くなっている気がした。



その白い肌が、不健康に青白く見えることもあった。



それでもジュディスには、ユーリに対する、無条件の信頼と過信があった。
それらがジュディス自身の、掠れた声で警告を囁き続ける声から、耳を塞いでしまったのだ。




















全てをひっくるめて言うならば、それは不幸という他ならないだろう。
誰もこんな事を、それこそ本人すら予期していなかったし、彼らは常に目まぐるしく変化する、忙しない状況に身を置いていたのだ。



そしてその日―――そう、場所はダングレストで。










ユーリは倒れた。















―――――――――――――――
またもや見切り発車!
なんですが前から考えていました病気ユーリネタです。
この病気はもちろん命の危険もある大変なものだとは分かっているのですがしかしそれでも拒食症ユーリ萌える!
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