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2009-11-18 20:11

追憶を裁く/中篇


『追憶を裁く』の続編です。

―――――――――――――――



「ふぅーん・・・・・・物騒な奴だなぁ。さすが”俺”」




言うなり、”ユーリ”は剣を抜き放ち、不要になった鞘をユーリ目掛けて投げつけた。
仲間たちは瞠目する。
こんな行動を、今まで彼は一度として取ったことがないからだ。



これは、自分たちの記憶から生まれた幻影ではないのか!?



ユーリは咄嗟に右手の篭手を突き出してそれを弾くが、攻撃に移ろうとしていた体の動きを一瞬、止められた。



僅かに生まれた隙。



それは、数字にすれば数秒にも満たない、正に瞬間だ。



しかしこの殺し合いという場において、その一瞬はあまりにも致命的だった。



”ユーリ”が体を揺らし、疾走を開始する。
ジグザグに、我流のステップを交えたそれは捉えにくく、リズミカルな靴音を耳で捕らえたときには、すでに彼は眼前に迫っていた。
標的とされたのはレイヴンである。



―――迅い!



ぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょっ!



重心を限界まで落とした姿勢から、”ユーリ”が右足を軸に、回転を掛けながら柄頭で突き上げた。
レイヴンは何とか弓幹で受けとめたが、体重の乗ったそれは重く、レイヴンは衝撃と共に後方に飛ばされた。
びきり、と耳障りな亀裂音が響くも、凶刃が空を裂く音に掻き消される。



自ら吹き飛ばしたレイヴンには目もくれず、”ユーリ”は回転を利用して、クリティアの戦士に斬りかかる!




「くぅ・・・・・・っ!」




受けきれず、ジュディスの肩口が僅かに抉れる。
槍という武器は、絶望的に接近戦に向いていない。
何とか距離を取ろうと飛び退り、渾身の気迫を乗せて切り上げた。
硬い鱗に覆われた魔物をすら一振りで切り裂く刃が、漆黒の暗殺者に迫る!
しかし穂先が捕らえたのは、冷たい金属音。
くるくると回りながら宙に飛ぶ刀のみであった。




(読まれていたっ?)




ジュディスが焦り、防御姿勢を取るために槍を引くが、既に遅い。
武器を囮にして距離を詰めた”ユーリ”は、地に手を着いて強烈な回し蹴りを鳩尾に叩き込んでいた。
ジュディスの細身の体が軽々と吹っ飛び、硬い石畳に叩きつけられる。




「ジュディス!」




エステルが叫び、駆け寄り慌てて回復術式を展開させる。



傷は深くないが、呼吸を乱された。
しばらくは動けないだろう。
そう自己判断を下しながら、ジュディスは未だ体勢を崩しているレイヴンを見やった。
視線が交差する。
恐らく同じ事を考えている。



―――強すぎる、と。



いや、そんな事は、今更だ。



彼はこれまで、騎士団隊長主席であるシュヴァーンを。



世界征服を実行しようとしたアレクセイを。



そして人間の何倍もの年数を生き抜いている始祖の隷長を、その手で下してきているのだ。



その側にいれる事が嬉しかった。
背中を預けられている事が誇らしかった。



―――驕って、いたのかもしれない。



彼の力を、全て見てきた気でいた。
単独戦と集団戦は違う。
彼はこれまで、常に自分たちを気遣い、指示を飛ばし、庇いながら戦った。



それらの”無駄な”行動に縛られること無くなった彼の剣は、あまりに自由で、そして強かったのだ。



―――”ユーリ”の攻撃は流れるように止まらない。
己で投げていた剣を、中空で逆手に取り持ち、振り向きざまにバックステップ。
詠唱中のリタの隣へ!



「――――――調子に 乗 るな!」



繰り出される一撃必殺の鋭い突き。
しかし本人でさえも覚悟した血飛沫は上がらない。
ユーリが刃の腹で、その切っ先を止めていたのだ。
全身のバネを使い、リタと死を乗せた刃の間に滑り込ませた反動で、長い黒髪が風に舞う。



能面のように表情を消していた”ユーリ”が、ぴくりと眉を動かす。



今、剣を受け止める彼の顔は憤怒に染まっていた。
犬歯が覗くほどに噛み締められた唇。
吊り上げられた柳眉。
何より鋭く細められたその瞳は、相手を射殺さんばかりにぎらぎらと光っている。



美しく整った顔であるだけに、その姿は見る者に武神を連想させた。
















―――――――――――――――

戦闘シーンだけで終わってしまった!
だと言うのに戦闘描写がテンポ悪い!(最悪だ)
ユーリは恐らく敵に回したら最強。
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