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2010-02-27 21:30

黒い真実


突発ネタです。
私が書くお話は大体そうですが完璧に見切り発車です。
なので書きたい場面しか書きません。
捏造たくさんです。
例えばザウデに一緒に来てるはずのフレン隊の存在をまったく無視しています。
尻切れトンボになる可能性大です。
それでもよろしければどうぞ!





――――――――――――





 

誰もがそれを理解するのに、しばらくの時間を必要とした。





ザウデ不落宮の頂上で待ち構えていたアレクセイは、その騎士団長の名に相応しく強かった。
そして尚且つ、狡猾だった。



ザウデ内部での親衛隊との度重なる戦闘。



そしてイエガーとの激戦。



既にユーリ達は満身創痍と言ってもいいほどに疲労していた。
それでも先に進むしかない。
数で勝っているという思いもあった。
否、甘え、だろうか。



とにかくその巨大な遺跡の頂上へと辿り着いたとき、そこに待ち構えていたのはアレクセイだけではなかった。
不適に笑う彼の横に据えられていたのは、黒光りする、不吉な姿をした兵器魔導器。



アレクセイはエステルが正気に戻されることも、ユーリ達がこの場所に辿り着くことも、既に予想していたのだ。



何と恐ろしく用意周到なことか。



しかも脅威を感じるべきことに、その魔導器の中核となるべきところには、手のひら大の聖核がそっくりそのまま、
嵌め込まれていたのである。
優れた魔導力をもっていた古代の人々でさえ、その秘められた力の大きさに戦き、小さく砕いて使用したというのに。



原石を使用した兵器魔導器の威力など、想像することすら叶わない。
その危険性を最も理解できる魔導師たるリタは、すぐに引き返すよう皆に叫ぶ。



だが遅い。



既にエネルギーはチャージを終える直前だった。



間に合わない。



逃げ切れない。



誰もがそう思った。



アレクセイでさえそう予想した。




「ユー、リ・・・・・・?」




掠れた声で、震える声で、彼の名前を呼んだのは誰だっただろうか。
空気でさえ悲鳴を上げるのではないかと思えるほどの、超エネルギーの砲撃。
人間が受けたならば否定のしようもなく即死であろう。



文字通り跡形も残るまい。
しかし彼らは、そして彼女らは生きていた。
生きていたどころか、余波で目や喉を痛めた以外には、傷一つ負っていなかった。



何故か。



守った者がいるからだ。



誰か。



彼らの標たる、ユーリが。



しかし今、”人として”のその姿を確認することは出来ない。
それ故に、先ほど彼を呼んだ声にも確信がなかったのだ。
凄まじい火砲から、自らを盾に仲間達を守ったのは、一言で言うならば龍だった。



光沢を持った黒い鱗。



しなやかに伸びる胴。



威厳を感じさせる一対の鬚。



伝説にのみ生きる筈の、龍そのものの姿。



ユーリにそうであると、語られた事実は無い。
それでも漠然と、”ユーリ”であると、皆は思うことが出来た。



あるいは本質的なところで、彼と同じものを感じることが出来たからだろうか。
事実、その場から人間としてのユーリの姿は消えていた。



しかし、人智を超えた美しさを湛えるその龍の表情は、苦悶に歪んでいる。



その鱗がいかに硬くとも、強大な魔導器の砲撃を弾く事は出来なかったのだ。



砲撃を受けた体の側面は鱗が剥がれ、あるいは溶かされ、露になった柔らかい肉が焼け焦げていた。
龍の体がぐらりと揺れ、ずん、と重々しい音を響かせて地に倒れ伏す。



即死は免れないかと思えた砲撃を受けて生きていた事実と、突如として表れ身を挺して自分たちを守った龍の存在。



それらの出来事に混乱し、仲間達は動けない。



何か行動しなければと頭ばかりが焦り、けれど体は未だ衝撃ですくんでしまっている。
もどかしく歯噛みする彼らを、轟く声で叱咤したのはやはり龍だった。




「ぼけっとするな! 早くアレクセイを!」




紛れもなく、ユーリその人の声。



一瞬で、皆の呪縛を解いた。



一斉に、駆け出した。



アレクセイも、想定外の出来事に呆然とこちらを見つめている。



彼を討ち取るならば、今をおいて他には、無い!



レイヴンの放った矢が、アレクセイの肩を貫通する。
ラピードの銜えた刀が、その足を深く抉る。
ジュディスの槍が、右手を上腕から切断する。



落ちた右手が落下し、握られたままだった剣が鋭い音を響かせた瞬間、彼らの勝利は確定した。




















彼らはアレクセイとの戦いに勝利した。



けれどそれは違う観点から見れば、敗北と言えるかもしれないものだった。



ザウデは開放され、星喰みは眠りから覚めたのだ。
事態は悪い方へと転がっている。
今度こそ本当に、世界の、テルカ・リュミレースの危険が迫っていたのだ。




「ユーリっ! ユーリですよね!? ああ、私はどうすれば・・・・・・!」




エステルの悲痛な叫びがこだまする。
このままでは世界を消滅させるかもしれないそれが、眼前に姿を現した今、しかし彼らの心を苛んでいるのは
ひたすらにユーリの命への危惧であった。




「・・・・・・っ! 回復術を使っては駄目よ、エステル。彼は始祖の霊長だわ」
「じゃあどうすりゃいいってのよ!? こんな、こんな酷い怪我・・・・・・!」




攻撃によって焼け焦げた傷からは未だに煙が上がり、辺りには肉が焼ける匂いが立ち込めている。
取り乱す仲間達の前で、龍の姿が突如として光に包まれた。



瞬きの後、そこに倒れていたのは本来の姿―――それを言うならば先ほどの龍の姿こそがそうなのかもしれないが
―――を取り戻したユーリであった。
すかさずレイヴンが駆け寄り、なるべく傷を刺激しないように抱き起こす。
それでもユーリの口からは、痛みによる苦悶の声が漏れた。
人の姿になったことで、傷の酷さがより一層増しているように見える。
レイヴンはその具合を確かめた。



右半身が焼けてしまってる中、特に右腕が酷い状態だ。
表面は完全に炭化してしまっている。
早急に治療をしなければ、腕を切り落とすことになってしまうかもしれない。
いや、それ以前に火傷の面積が広すぎる。
これでは命の危険が―――くそっ! 考えるのは後だ!



巡る思考に囚われかけたレイヴンが痛烈な舌打ちを漏らし、ジュディスに視線を送る。
ジュディスはその意図を素早く汲み取り、言った。




「ええ、もうバウルは呼んであるわ。少し危険だけど、ここから直接乗せてもらいましょう。今はとにかく、医療施設
のある街へ。一刻も早く」




常に冷静であり、ポーカーフェイスの称号すら会得している彼女だが、その言葉の端々には隠しようも無い焦りと
悔しさが滲んでいる。
頬には冷や汗が流れ落ちていた。



「ユーリ、ユーリ! 私はまた、貴方の助けになれないのですか・・・・・・?」




ほとほとと涙を流し続ける少女の瞳から落ちた涙が、不穏な音を立て始めたザウデの白い床に、いくつもの染み
を作っていた。















―――――――――――――――
もはや書き尽くされているかも知れませんが書いてしまいました。
別に嫌いじゃないけども、パティにばかりおいしい要素を詰め込みすぎじゃないかと思う私です。
ユーリにももっと色々設定があっても良いはず!
例えば実は始祖の霊長でしたとか!

ユーリの始祖の霊長としての姿は、某神隠しアニメの白の黒バージョンを想像しました。









 

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